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■ 中毒性日記 2001
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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文化の日、3日は何かと忙しかった。祝日にふさわしい、婚礼の出席。そして普段休みのはずのこの日、店での「ちょっとしたパーティー」の開催、それについては次回に…。

結婚式、披露宴。そして2次会のパッケージは、今の日本のそれこそ文化となった。ホテル時代にサービスとして担当した式・婚礼を含めると、僕は今までどのくらいその風景を目にしたことだろう。100や200どころじゃない。必要以上に長いスピーチ。どこかで聞いたようなエピソード。お決まりの唄…「兄弟船」「乾杯」「テントウムシの産婆(サンバがこう変換された)」を聞いた回数は尋常じゃない。素人おやじの自分に酔ったマイ・ウェイ『♪私には愛する唄があるから〜』は、「あんたには絶対ないやろ!」と突っ込んでしまう。本当に僕は他人の幸せを何度祈ったことか、僕は現代のエンジェルなのか。ははは。笑い事じゃないよ、あなた!

そう考えると今回の婚礼はよかった。(主賓の挨拶で、新郎新婦のことでそうなるのならともかく、O・ヘンリーの短編を朗読してその世界に入り、感無量になっている男性には先行きの不安があったが)まずは、新郎が弟のような存在であること。その家族もよく知っていること。そしてその友人達にも知り合いがいたこと…。何よりもオリジナルを感じたし、そこにはストーリーがあった。彼は神戸元町に生まれ育ち、ジャズボーカリストの母とベーシストの父を持つ。両親が営むミュージックバー「エリース」暖かさと、僕の好きな神戸がそこにある、その店も知っていた。

宴も酣、両親とその仲間達の生演奏。「この子が結婚するときに、まだ歌い続けているのならその席で唄いたい。ずっと言い続けてきて、ここで歌えたことを幸せに思います…」曲が始まり、今までに見て聞いてきた婚礼のそのどれとも違う、唄のプレゼントに聞き入った。音楽で何かを伝えられる人、その感性を持つ人は素晴らしい。 終盤には、彼の小さい頃から今も近い関係の、これまた僕がよく知る友人代表のスピーチ。直前まで緊張していた姿を知っている僕は、その堂々とジョークも交えながら、最後には見事に新郎を泣かせてしまったスピーチに感動した。

新郎新婦の両親に贈る花束の贈呈。もうだめだ。年齢のせいか、いつからか僕は涙腺が緩み始めたようだ。彼らを10代から知っていて、当たり前のその成長に、親でもないのに「大きくなりやがって…」と僕は、込み上げる涙をサングラスで隠した。 帰り口の金屏風では、両家が並んで見送る。兄貴分の僕は、ここでカッコつけねばと涙がおさまるまで少し待った。笑顔で彼らに会うために、サングラスをはずしテーブルに置く。僕と一回りも違う彼の婚礼は、本当に心からお祝い出来るものだった。

晴れやかな気持ちでホテルを後に、神戸のその日の空は僕と同じように泣いていた。そして僕は気が付いた……。

「サングラス、テーブルに置きっぱなしやわ!」


志賀変語36
『焼けぼっくりに火が着いた』:「焼き木杭に火が着く」の誤用 もう、どうにも止まらない勢いの意 僕もこうなったら結婚かも? 山を歩くと落ちている「松ぼっくりに気が付いた」は、イケナイ駄洒落だ
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