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25日、世間で言う給料日。月末、近頃店の近くで警察がうろうろしている。正確には「警察官」がうろうろしている(さらっと流すことかも知れないが、言葉というものは難しく「カウンターに座る」というのは「カウンターの椅子に座る」ことだし、「カモシカの様な足」は「カモシカの足の様な足」が正解である)。所謂駐禁かと思えば、路上駐車が多いここ加納町で、通報によるものらしい。もし僕が路上に置いていたとしても、近くの店の面々が連絡をくれるので助かることも多いが、やはり通行の妨げはいけない。通報とは、明らかに邪魔な車があるのだろう。どちらにしても社会のルールとして、守らなければいけないことではある。ふと、こんな話を思い出した…。
僕の高校では、原付バイクの通学は禁止されていた(免許取得はよかったかな?)とにかく、ダメだと言われれば言われるほど、そのルールを破るのは、歴史から見ても明らかだ。大学の4回生の頃、家の近くの高校に常勤講師でいたことがある。教育実習とは違い、学生でありながら卒業見込みの僕は、給料ももらえたし、当時憧れた体育教師を囓れたということもあって楽しかった。例によって、その高校でも、禁じられているバイク通学が問題になっていた。
職員会議。議題は「バイクに乗ってくる奴がいる。そのみんなが隠れてバイクを置いている場所を見つけた。どう処置・処分をすればよいか」であった。意見が飛び交う。学生の僕は、ただそれを眺めている。厳重に注意を促し、鍵を取り上げる…保護者に通告する…停学に処す……などなど、いかにも学校のやりそうな対応を議論している。ある体育の先生が言った。
「ヘルメットを取り上げましょう。なぁ、志賀先生!!」と僕に同意を求める。僕の高校時代はヘルメット無しでも乗れた原付バイク。でも今は違う。そのヘルメットを取り上げられれば、彼らはノーヘルメットで帰るかも知れない。逆にそれは危険だ。体育教官室の仲間という立場で、頷きながら若かりし僕は「あのぉー…」と切り出した。
「いっそのことヘルメットを鎖でつなげるってのはどうでしょうか。これくらいのことをやっとくと、彼らはビビッてもうしなくなるんじゃないですか。ん?いや待てよ。停めていた生徒、全員が一斉にヘルメットをかぶって、同時にバイクを運転しながら、それぞれ近い家の者から帰り、一人ずつヘルメットを脱ぐ。一番遠い家の生徒は、ヘルメットを引きずりながら、また翌朝一人ずつ経由して、またかぶって学校に来たらどうしましょうかねぇ。そこまでやるのなら、その粋に免じて許しちゃいましょうか!ははは」
先輩先生をフォローするつもりが、一転して「志賀先生、それは却下です」と言われてしまった。その後、僕が教師を目指さなかったのは言うまでもない。
志賀変語29
『原付』:原動機付き自転車 では、ラクーンやパスは何だ? 補助原動機付き自転車か? 免許は、いるんやったっけ? でもヘルメットは、いらんよな?
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