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■ 中毒性日記 2001
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
The Right ? Staff
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12日の日中は晴天で、僕の車にはいい季節となる。オープンにして東灘、岡本の閑静な住宅地を走り抜ける。銀杏並木、落ちた銀杏の薫り(これはいただけないが…)、ジオラマ・キットカーにも似たTVRは、心地よいエグゾーストノートを直接僕の耳に響かせながら駆け抜ける。信号待ち、英国車なのにヨーロッパ仕様の左ハンドルの運転席から、摂津本山駅前の歩道を行き交う人々を眺める……。


昨日日記に書いたCD『前田憲男とプレイボーイズ プレイボーイ講座12章』をすぐにMDに落とし、何を思ったか僕は、カーボントップをはずしたTVRで家から高速を飛ばしていた。芦屋の方面へ行き、帰る途中立ち寄ることにした、知人のお菓子屋さん。イベントをやっているとのことで、岡本に向かう。そこまでの復路は国道から山手幹線へ。このCDは、音楽もかなりゴキゲンである。僕はカチッカチッとショートストロークのボルグワーナーミッションを巧に操り、件の摂津本山駅前、スターバックスの赤信号で停まった。

車高が低いこの車。目線は腰の当たり。下手すると、女性の脚線美をフラットにごく自然に見えるものだから、つい僕は見とれてしまい後ろの車からクラクションを鳴らされることもしばしば。興味があるのは車なのか、僕なのか……歩く女性と目が合い、ほんの数十秒の疑似恋愛・想像の世界を巡らせることもある。他聞に漏れず男はロマンチストだ。この日も、そういう日のはずだった。

夏を過ぎ、ミニのスカートはこの季節、余計に目を引く。顔が先かスタイルが先か、僕は瞬時にその女性をボーっと眺める。目が合う。知的な美人だ。彼女はニコニコしている。BGM・ラウンジジャズがその瞬間を演出してくれている。「これは…!」在りし日の、『初対面異性交友街角会話』所謂【ナンパ】を思い出させる素敵なシチュエーションではないのか?僕は、ここで勇気を振り絞るべきなのか。二度と会えないかも知れない(運命的な出会いを、この一瞬でよくもまぁ考えるモノだが)「あのー……」と、ドア越しに声を掛ける僕の本能よりも先に音楽が終わって、聞き覚えのある声がそれを遮った。

「第5章、車。プレイボーイの君に一言忠告しておこう。プレイボーイにとって、車など単なる小道具にしかすぎない…」

カーオーディオから、プレイボーイ講座ナレーション・三遊亭円楽が語りかけてきた。現実に引き戻された僕は、反射的にMUTEボタンを押し音を小さくする。恥ずかしさがそうさせてしまっていた。まだ未熟なプレイボーイは、青信号と共に急発進する…。

ほんの数十秒の恋は、やはりその通り一瞬にして終わった。幸せ者のあほである。


志賀変語18
『ノープラモデル』:同級、永島(元ヴィッセル神戸・5/17日記参照)のギャグ 他に、アンビリーバンバンもあり
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