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■ 中毒性日記 2001
志賀のひとりごと、日記に綴ってみました。
変態小説家
志賀による、「志賀」を舞台にした空想連載小説。
志賀自賛
志賀の、「志賀」にかけた想いのあれこれ。
年中ムキューっ
志賀、昼の顔。
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昨日に引き続きご飯ネタである。日曜とはいえ、外に出るわけでもなくこうして家にいる。遊んでくれる人がいないこともあるが、仕事やホームページの更新にPCに向かうと、色々やってしまう。店の終わりから、今日も気が付けば午後2時前。「ラグビー、日本対ウェールズ」Jスカイスポーツの番組予約をして仮眠する。3時間ほど寝ると、晴れ間の見えていた日中が今は曇りがちである。先述のように、僕は自炊をしないので一人で行く店には事欠かない。ただ、基本的に店の人と知り合いになってから通うことが多いので、飛び込みで開拓したり、マニュアル本を見て行ったりすることはほとんどない。またいつもの店にしようか。それとも思い切ってあの日のように…。

神戸に来てお好み焼き屋さんが多いのに驚かされる。元々関西人であるので、夕食とは行かずとも昼食にはお好み焼き、しかも関東人が驚くご飯と一緒にも食べられる。ただ、初めて神戸に来たときに「そばめし」と「そば焼き」に、ん?となる。後者は焼きそばのことだがなぜか反対に書いてあるし、そばめしが解らない。今では冷凍食品でも手に入る代物ではあるが、安直な食べ物である。カレーライスが混ぜて売っていても多分売れないだろう。当時、結構馬鹿にしていた。「本物を食べてないからや!」と、発祥の地と言われる『長田』のお好み焼きを勧められたのは、ある日曜のことだった。

夜8時半頃、長田に一人到着。言われた店に行くと、もう閉めようとしている。考えれば庶民の食べ物、駄菓子屋感覚で食べたりもするから店じまいも早い。困った。このまま帰るのはかなり癪だ。車で国道に出る手前、まだ灯りがついてるお好み焼き屋を見つけた。外から中の様子は見えない。さほど大きくない店構えだが、この激戦区に生き残ってるのだから間違いはないだろう。隣は、震災後更地になっているようで厨房から換気口が見える。近づいて、耳を傾けると笑い声がする。どうせ、長い鉄板があったとしても、端っこの方で食べればいいや。やっと本物のそばめしにありつける!下町の暖かい空気感を想像させるその声に、勇気を出して入ることにした…。

ガラッと扉を開けながら暖簾をくぐる。今まで入った店の中で、これほどまでに注目されたことはなかった。なぜなら、そこには幅70センチくらい、正方形の鉄板があって、手前の1席以外はおじさんとおばさんが3人で囲んで座っている、そのテーブルしかない店だったからだ。知らない人の家のこたつにいきなり入れと言われるようなものだ。僕は一瞬躊躇した。一緒に座っているお婆さんが「いらっしゃい」と言う。なんだ、ここは!。ここまで来て引き返すわけにも行かずに僕は、思い切って身内ノリのそのテーブルに座る。「何しましょ」「そばめしと豚のお好み焼きください」いかにも平凡な注文を終えると僕はすぐさま、置いてある「FRIDAY」を読み出す。とにかくここは、状況を観察せねば。しかし、この写真週刊誌は『かのう3ビリヤード』で読んだものだ。ううっ、待ち時間が辛い。

当たり前だが、一つしかない鉄板で僕の注文は調理される。ほとんど食べ終わっているおじさん、おばさんがじっと見る。「うまそうやな〜」おじさんがそのまま箸を出しそうな勢いで、更にじっと見てる。「やめろ、それは僕のものだ」とは言えないで、今度はこれまた前に観たテレビからの映画に見入る振りをする。「こっちもそばめし、ちょうだい」おじさんが言うと「一緒に食べたらええやん」と店の婆さんが言う。なんだ、この店は!「あっ、これも食べな」と、広島出身の婆さんが田舎から送ってきた牡蠣を調理する。おっちゃん、おばちゃんは喜んでつつく。一見の僕はまだ勇気がない。そんなことしたら、僕のそばめしはたちまち餌食となる。僕は小さいフィールドを確保しながら、出来上がったそばめしとお好み焼きを急いで食べた。味なんて解らない。こんなの初めてだ…。

そそくさと店を出た。長田そばめし初体験は、完敗に終わる。庶民の文化、そばめし。もしかすると僕は、本当に他人の家に迷い込んだのかも知れない、そんなことすら思わせるこの場所は探検する価値アリである。


志賀死語30
『モダン焼き』:お好み焼きの中にそばが入ってるやつ 平然とみんな言ってるが、何がモダーンなのだろう。そばめしのごとく、画期的だったのか? そう言えば「モダンパーマ」なんてのもあったな。
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